増田です、
僕の子どもが小学校に入るということで、
「フリースクール」の見学に行ってきました。
フリースクールとは、公立や私立といった
学校法人ではない学校のことです。
今回見学に行ったフリースクールは、
NPO法人が運営しています。
注目されているフリースクール
多くの方は、お子さんを小学校を入れようと
思ったときに考えるのは、公立や私立だと
思います。
中には、高校や大学からは海外の学校に
進ませたいと考える方もいらっしゃると
思います。
また、最近であれば文部科学省が推進している
国際バカロレアも注目されています。
そういったところにお子さんを入学させたいと
考える方もいらっしゃると思いますが、
実は今回紹介する「フリースクール」も
注目されています。
フリースクールとは独自プログラムの学校
冒頭でも説明したとおり、フリースクールは
文部科学省の認可を受けていない学校です。
そのため先生も教員免許を持っているとは限らず、
完全に独自のプログラムで教育を行っています。
今回僕が見学に行った小学校では、
シュタイナー教育を海外から取り入れて
教えています。
学校というより大きな家
学校の建物も多くの人がイメージするような
大きな建物に運動場、体育館などがあるわけではなく、
どちらかと「大きな家」といった感じです。
そして大きな家の周りに庭や森があるといった
環境で子どもを育てる場所といった感覚でした。
全校生徒30〜40人と小規模
普通の学校なら、1クラス20〜30人ほどの規模で
1年から6年まであり、数百人の児童がいます。
でも、僕が見学したフリースクールは1クラス数人ほど、
全校生徒を合わせても30〜40人という少人数です。
その30〜40人という少人数で、小学校から高校までの
12年間をかけてシュタイナー教育を学ぶわけです。
シュタイナー教育とは
シュタイナー教育とは、ドイツの哲学者である
シュタイナーという人が独自にまとめた
教育プログラムです。
シュタイナー氏は教育だけでなく農業や医療の分野でも
独自の理論を構築されていて、シュタイナー教育と
並んでシュタイナー農法もよく取り上げられています。
では、シュタイナー教育というのは具体的に
どんなものなのかというと、一言で言うと
「自分で物事を考えて、責任を持った行動ができ、
その行動が社会貢献につながる人材を育てる」
そういった教育内容です。
その中でシュタイナー氏は、
自分らしく活き活きと、
そして世界で活躍できる人材を育てていきたい
という想いがあることをおっしゃっています。
僕自身、こういった考え方に非常に
共感しているので見学に行ったわけです。
これからの社会は「多様性」が必要
僕は子どもの教育だけでなく、僕自身も含めて
これからは多様性が重要になってくると
思っています。
その理由は、これからの日本は、多くの外国人の方が
移住してくるはずだから。
そうなれば、肌の色や住んでいる場所、
文化やそれまでのバックグラウンドに関係なく、
一緒に仕事をするなど社会を共に生きて
いくようになるでしょう。
そういった人たちの考え方や文化を受け入れる
考え方が必要になります。
それにも関わらず、自分と少しちがう人を
切り離してしまっては、これからの社会で
生きていくのは難しくなると思います。
そこで今回のフリースクールもそうですが、
何らかの形で自分とはちがうものを受け取れる
多様性を身につける環境をつくることが
大切になります。
学校での短所が社会で長所になることも
多様性を身につけるというのは、相手の短所も
認めるということです。
もって言うと、学校での短所が社会で長所となる
可能性だって十分にあります。
日本の普通の小学校では、
同じ年代だという理由だけの
30〜40人がクラスとして集まって
画一的に勉強していきます。
そして、テストなどではいかに
知識を詰め込んだかどうか?
それだけで優劣が判定されます。
中には要領よく覚えることができる人もいれば、
覚えることができない人、
また椅子に座っているのが
落ち着かない子だっています。
教室で隣に座っている子の立てた物音に
反応してしまう子だっているでしょう。
こういった子は、普通の小学校では
「成績の悪い子」などとよくない評価を
受けてしまいます。
でも、実は学校では評価されない特技があるなど、
社会にとって役立つ個性があるかもしれません。
だから僕は、いろんな個性を持った
子どもが集まって一緒に勉強するのが、
今後の社会にとっていいんじゃないかな、
と思っています。
また、子どもが自分から知りたい、
学びたいと思うことを学び、
その知識を社会で活かすことが
できるようになってくれるといいな、
と考えています。
そのためにはシュタイナー教育の
フリースクールに通わせることが
よいのではないか、と考えたんです。
一応付け足すと、だからと言って
公立と私立といった一般的な学校に通う
子どもがダメだと思っているわけでは
ありません。
当然公立や私立の学校にもよいところは
ありますし、単に価値観のちがいだと
思っています。
フリースクールはシュタイナー教育だけではない
今回僕は、シュタイナー教育に興味が
あって見学に行きました。
でも、シュタイナー教育以外の
思想や考え方に基づいた教育や
フリースクールもあります。
ですから、もし興味がある方は
いろいろ調べられて見学してみるのも
いいんじゃないかな、
と個人的には思っています。
教科書がないシュタイナー教育のフリースクール
前置きが長くなりましたが、
実際に僕が見学に行ったシュタイナー教育の
フリースクールはどんなところなのか?
説明していきたいと思います。
もっとも衝撃だったのは、教科書がないこと。
僕はこれが非常にいいと思いました。
僕は「何から情報を得るのか?」
とても重要だと考えています。
特に小学校というメディアリテラシーがない時期に
教科書を通して得た知識は、その後の思想・考え方を
形成する重要なものだと思っています。
じゃあ教科書がなかったらどうやって勉強するのか?
フリースクールでは、
自分たちで教科書を作っていきます。
物事を本質から学ぶ
教科書がないフリースクールでは、
具体的にどうやって授業を進めるのかも
見学して来ました。
たとえば国語で「土」という漢字を学ぶとき、
先生が自分で考えた次のような物語を語ります。
大地に空が会って種が落ちて
その種からどんどん木ができて
そして花が咲いて―
その結果「土」という漢字ができた
そんな話をします。
実際の授業では、その先生の話を聞きながら
絵を描くなどの体験を通して
漢字を学んでいました。
普通の学校だと、「土」という漢字の形や
筆順を学ぶだけです。
僕も小学校のとき、筆順がちがうと
よく怒られました笑
本当の意味で「必要」なものから学ぶ
また、算数では足し算からではなく、
割り算から覚えるそうです。
なぜ足し算ではなく割り算から学ぶのかというと、
友だちととんぐりや食べ物を分けるときなどに
割り算が必要だからだそうです。
割り算を知らないと、自分が持っているものを
周囲のみんなで均等に分けることはできません。
このようにフリースクールでは
割り算という知識だけでなく、
「自分が持っているものをみんなと共有する」
という考え方も伝えているわけです。
単純に簡単なことから学ぶのではなく、
自分の生活や考え方のために必要なものから
学んでいくという考え方は大事だと思いました。
ただ、中には国語や算数の計算が
苦手な子どももいます。
そういった子どもには無理に覚えさせるのではなく、
日常的な会話を通して算数に慣れてもらうように
しているそうです。
自分の表現方法を学ぶ
また、
フリースクールではダンスや音楽の授業もあります。
これもおもしろいと思いました。
「それって普通じゃないの?」
と思われるかもしれませんが、
僕がおもしろいと感じたのは
ダンスや音楽を学ぶ理由です。
単にダンスの踊り方や歌い方、楽器の演奏の方法を
学ぶのではなく、自分の内面を表現するために
ダンスや音楽を教えているそうなんです。
先ほど説明した国語での文字や算数の計算も、
自分の内面を伝えるための手段の1つだとも言えます。
英語でより多様性を取り入れる
こういったフリースクールだと、
「英語はいつから学ぶのか?」
興味がある人も多いと思います。
僕が見学に行ったフリースクールでは、
小学校1年から英語の授業があるそうです。
英語を小学校1年という時期から学ぶ理由も、
先ほどのダンスや音楽と同じように
多様性を取り入れるためだと聞きました。
英語を通して世界のより多くの人と接する
ことにより、いろいろな多様性を取り入れる
ことができるという考え方です。
英語教育については、
「英語を勉強するにはまず日本語から」
という意見もあります。
もちろん一理あると思いますが、
僕はこのフリースクールのように
人生の早い時期で英語を知って、
自分の世界を広げることが
大事なんじゃないかな?
と思っています。
アプローチは学校や先生ごとにちがう
ここまで説明したのは、僕が見学に行った
シュタイナー教育の学校の話です。
日本はもちろん世界各地にある
シュタイナー教育の学校は、
根幹となる考え方は変わらないものの、
授業の内容や方針は学校ごとに、
もっと言うと先生ごとに異なります。
先ほど国語で漢字を教えるために、
先生が考えたストーリーを話すと説明しました。
先生が自分でストーリーを考えるため、
当然ですが教える先生によって話の
内容が変わります。
シュタイナー教育のフリースクールでは、
子どもだけでなく先生や学校の多様性すらも
認めているわけですね。
今回フリースクールを見学することによって、
「自分自身で考えて責任を持った行動を
取ることにより社会に貢献していく」
そのためにはどうしたらいいのか?
子どものためだけでなく、僕自身にとっても
大きな学びがありました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
増田裕一